こんばんは、カエルです🐸
以前、赤江瀑作の『オイディプスの刃』について書いたのですが、今回は前の紹介では書かなかった、この作品を読んで私が勝手に萌えたところについて語ります。
前回は「腐目線」を抑えて書いたので(←頑張って普通に書籍紹介しました(笑))、今日は溢れんばかりの萌を語らせていただきます。
よこしまな読み方です。もちろん前回は純粋に文学として楽しんだのですが、今回はそれとはまた別の私の楽しみとなっています。
注意事項として『オイディプスの刃』はまったく腐のお話ではありません。耽美的な文章が超魅力の、兄弟の確執を描いたサスペンスです。
でも私が読んだら萌えてしまったと…blアンテナが反応してしまったと…そういうわけでございます(;^_^A
まったく困った脳みそです…。
今回はネタバレありです！
ネタバレなしはこちらに☟これは前回のストレートな書籍紹介です(笑)お時間のある方、純粋に文学を楽しみたい方もぜひこちらだけでも…(*- -)(*_ _)ペコリ☟
fudaikaeru.hatenablog.com
☟うわぁ…耽美なにおいぷんぷんする表紙だ…(←？？)
ざっとあらすじ
ある日、大迫家の庭で泰邦という刀の研師が亡くなりました。泰邦は大迫家にある日本刀『次吉(つぐよし)』を研ぐために度々家を訪れていて、今日もまたそうでした。そんな彼は殺されたのか、自殺なのか……家にいた大迫家の住人には分かりませんでしたが『次吉』によって命を落としたのは確かだったのです。
しかし事件は続きます！その出来事から数時間のうちに、主人公駿介の母と父が『次吉』で自害をしたのです！
3人の死の真相はなぞに包まれたまま残された一家の子供たち、長男の昭彦、次男の駿介、三男の剛生は離別の道をたどることに。そして剛生は忽然と姿を消し……彼が再び現れた13年後に明かされる真実とは？！
的なかんじです。
腐版注目ポイント！
駿介目線の泰邦の肉体描写がなんかすごい…
絶対これは特筆すべき点です(←個人的に)。この小説の主人公、駿介(しゅんすけ)目線で出てくる刀の研師、泰邦(やすくに)の肉体の描写が非常に細かいのです。駿介の回想シーンで複数回にわたり登場します。しかも艶めかしいです(笑)
日本刀『次吉』を研ぐために大迫家に出入れしていた泰邦は、その刀によって謎の死を遂げた若い男です。駿介というのはこの大迫家の次男でありこの物語の主人公。謎に満ちた死は彼目線で語られます。
事件当時まだ16歳であった駿介は、その時から明らかに泰邦の肉体に特別な見方をしています。身近で他人である女性の雪代(←血の通っていない叔母。「血が通っていない」ので親族だけど家族でない"女"であることが重要。)の肉体の描写はとてもさっぱりしています。一方男性である泰邦の肉体描写ははるかに無垢で美しく、そんでもって艶めかしいのです。
泰邦の、つややかな逞しい裸体の背は、まさに『神あるかせ給うか』と、言いたいほどの美しさと清らかさにあふれていた。
(中略)
青ずんだ底光りをたたえる『次吉』の鉄肌に、褐色の泰邦の裸身は映り、泰邦のさかんな裸身に『次吉』の刃物は映え、二つのものが映じりあう一刻の気は、たとえようもなく清婉であった。
いや、これ作者は男性の方ですからね！男性が書いているのですからね！そこも感動です。
個人的には誰でもない「駿介」が「泰邦」の肉体について語っていることに非常に萌えたのですよね。なぜ萌えたのかというと……彼の過去と現在の仕事に注目しました☟(次の章で)
駿介の"男女の肉の絡み"の嫌悪について…
主人公の駿介は明らかに男女の肉体の絡みに嫌悪感を持っていいます。それはおそらく彼の幼少期の出来事からきていると思うのですが…
駿介は大迫家の次男であり、兄の昭彦(あきひこ)、弟の剛生(ごうせい)がいます。じつは駿介だけは兄弟の中で父親がちがうのです。父の今の母の連れ後だったのでした。
彼らには雪代という父の妹である叔母がいます。この叔母がけっこう難ありの人で…常に性愛になる男の対象を求めているんですよね…(汗)そして家族のなかでその餌食になったのが、かわいそうなことに唯一雪代と血のつながりのない駿介なのです。彼は幼いながらに叔母の行動に本当に嫌気がさしていました。(嫌気どころではない)
このことがあってかです。彼の母と研師の泰邦はおそらく浮気関係にあったのですが、彼は2人の関係に純粋無垢な美しさを見出していました。それは断じて体の絡みがなかったからです(駿介いわく)。
そして母はともかく泰邦の穢れのない美しさを称賛しています。対して絶えず男を求める雪代の肉体については嫌悪すべきもの的な印象を受けます。
駿介には「男を求める女の嫌悪」があってこそ「泰邦(男性)の特別な肉体の描写」がある。と考えると……なんかなぞに自分のツボにはまりましたね(笑)
駿介のしごとについて…
大人になった駿介の仕事はというと…本文の言葉を借りると「男の店」を経営しているそうです。でもこれだけだとどんな店かはよく分かりませんが……
私はゲイバーなのかな？と予想しました。
その一つ目の理由。店を構える際、パネル(看板的なもの？)を取り付けに来た若い男性、ツトムに駿介が一言。
「君、ウチにくる気ないか？」
(中略)
「僕、男は苦手ですねん」
「僕かて、男はだめやで」
ほお。それは興味深い。
理由の二つ目。それはこの店に取り付けるパネルです。そんなパネルなのかというとね……「フランス俳優アラン・ドロンの巨大な半裸の立ち姿」なんだそうです！
え、ぜったいそうやん。
それでまたね、駿介はこのアラン・ドロンを見て、「次吉」と共に死んだ泰邦や事件後姿を消した弟を思い出したりするのですよね…(*´ω｀)
しかも後に一緒に働くことになるツトムと駿介が…(*´ω｀後で語ります。
弟(父親違いの)への桁違いな執着が…
駿介には父親の違う弟、剛生(ごうせい)がいます。彼は名刀「次良」が3人の命を奪った事件で兄弟達が引き取られて別れることになったあと忽然と姿を消しました(←厳密に言うと昭彦、剛生は父方、駿介は母方の家に引き取られた後行方不明に)。彼の兄でもある駿介は、自分に懐いてくれていた剛生とあの時バラバラにならなければ今彼が行方不明になることはなかったんじゃないか…と大変過去を悔やんで今を過ごしています。いっつもいなくなった弟のことを思い出すのです。
駿介の剛生に対する想いというか…執着は尋常じゃないですよ。(萌)
そんな中学生の時に行方をくらました剛生なのですが…なんと26歳にして兄たち(昭彦、駿介)の前に再び姿を現します！！
しかも、魅惑的なラベンダーのかほりをプンプンさせながらぁ！妙に色っぽそう！(←たぶん。きっとそう(笑))
再開のシーンです。駿介の、ながねん剛生に思っていた感情が爆発する様子がようわかります。☟
いま自分がすることは、ひとつしかない。ただ
「剛生っ！」
と叫ぶだけだ。
駿介は狂乱のごとく、そう思った。狂ってよいのだ。乱れてよいのだ、と。
あの男をいま、
「剛生っ！」
と、よばないのなら、もう生きるのをやめたがよい。
えーーーー！！そこまで！？！？
執着の度を越えてやしませんか？！
兄弟なのにここまで執着？！でも兄弟だから執着するんですよねぇ…(・_・D フムフム
もうどんどん「剛生っ！」ってよんで狂って乱れてくださいってかんじです。
死ぬ間際に思い出したツトムの声って…
駿介は彼の経営する男の店(←目次の「駿介のしごとについて…」参照)で働く「ツトム」とすごく親しいです。
詳しくは書いていないのですが、おそらくツトムは居場所がなかったときに駿介に出会い、駿介に仕事と寝る場所を作ってもらったかんじに読みとれます。そのこともあってなのでしょうか、駿介はツトムはマスターである駿介のことを何かと気にかけいつも手を尽くします。たぶん駿介にかなりの信頼を置いていますよ。駿介のアパートにも出入りしていますし…
「マスター、マスタ～」って駿介を慕うツトムくんの様子がかわいいです…そして駿介も相当ツトムを可愛がってる風でもあります!(^^)!
以下物語の結末を言ってしまうと駿介はラスト、剛生亡きあと兄の昭彦と叔母を殺害して自らいのちを絶ちます。もちろん妖刀『次吉』でです。
一家全滅のこんな悲しいラスト……なのですが腐女子的に唯一の救いがありました。それは……駿介は自害する時なぜかツトムの顔と声を思い出したのです…！！！
これは個人的に結構大きかったです。実はね、自害する直前にもツトムと駿介のやりとりがあって、ツトムは様子がおかしい駿介を止めようとするんだけれども、駿介はツトムに「この後やってほしいこと」を言い残して出て行ってしまっているのですよ……そして駿介は最後にツトムに「おおきに」と言えなかったことも悔いていたりして……
二人は今後再会できないし、ツトムにとってもとてつもなく悲しい結末でしょうが……
これだけは救いでした。死の間際にツトムだけを思い返したのは救いでした。(←私にとって(笑))
ツトムの声をききたいと思った。思ったのは空耳なのだと、駿介は笑った。
(中略)
ツトムの声も、吐く息も、駿介にはもうとどかなかった。
『彼は少し苦しいと言い、苦しいが俺は好きだ、と言った』
駿介が最後に頭のなかに残した言葉は、それだった。
え…ちょいまち…この描写……おそらく刀を突き刺し意識がもうろうとする中で駿介が思ったことですよね。意識がもうろうとしているからかここの描写は輪郭が薄れるようなイメージの描かれ方をしているのですが…
細かいことは読み手にゆだねてるってことでいいのでしょうか…？！
だとすると、私は脳内では駿介が自ら刀を突き刺し倒れた瞬間に追いかけてきたツトムが到着。すかさずツトムは倒れている駿介を抱きかかえ、彼の名前を連呼。出血多量でもうろうとする意識のなか駿介はツトムの声を聞いたが空耳と勘違い。そして『苦しい。苦しいが俺は好きだ』と口にしてツトムの腕の中で息絶えた。 なのですけど…！！！
うわぁ…妄想楽しいです…(;^_^A
さいごに
えー……わたくし、三度の飯よりボーイ・ミーツ・ボーイが好きであります。
頑張れば大抵のことは秒速でBLに変換できる大変困った脳みそを持ち合わせていますが、この脳みそのおかげで毎日は楽しいです。
自分の好きなものが本当に見つからなかった時(そういう時があったのです…泣)と比べ物にならないほど楽しい。
BLが、BL匂わせが、妄想が……これらすべてが私にとっての幸せで、今ではこの脳みそが出来上がってしまったことに感謝しています(←開き直った)
もう一生この沼からは抜け出せないと思います(笑)
今回、BL脳で作品を読むという超個人的楽しみをしてしまいましたが、『オイディプスの刃』は純粋に文学として素晴らしい作品です。
大事なことなので……(*- -)(*_ _)ペコリ
最後まで読んでいただきありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ