今年度本屋大賞を受賞されました、凪良ゆう先生。
この受賞をきっかけにお名前を知られた方もいるのではないでしょうか。
受賞作の『流浪の月』はすごく引き込まれる美しい作品でした。
今回は同作者のbl作品紹介、第三弾になります。
私、余韻に浸りすぎですかね…(笑)
凪良ゆう先生 『愛しのニコール』 心交社 になります!!
挿絵:yoco先生
居場所を求め、『ニコール』という「自分」を作り上げた美浜二胡。
いつも笑顔でいる彼には、実はとてつもないくらい苦しみ、悩みがありました。
そして昔、自分を救ってくれた榮との再会。
甘酸っぱくて切なくてあったかい。
普通の男の子ふたりが織りなす、普通の恋の物語です。
本当の『自分』を出せないことに苦しんでいる人にもおススメです!
あらすじ
十四歳の夏、久美浜二胡はゲイゆえに田舎町で病気扱いされ、自殺を決意した。けれどその夜、遠い街から遊びにきていた少年・榮の屈託のない態度に救われ、いじめ回避のため「ニコール」というオネエキャラを演じはじめる。数年後、榮は転校生としてニコの前に再び現れた。イロモノに成り果てたニコにも榮は優しかったが、淡い初恋を詰め込んだ告白は本気にされず、逆に恋愛相談をされる始末で……。不器用な片恋クロニクル。 (引用:心交社ホームページ)
私的『愛しのニコール』キーワード
私が この作品を読んで「キーワードだな!」と思った、作品の雰囲気を表しそうな単語を独断と偏見で考えました。 ちなみに〇の中の番号は「目次」の番号です!!
②本当の自分を出せない ③高校生、良い意味で普通の登場人物、面白い会話 ④挿絵が素敵、計算された構図?
一色榮(男前?でもヘタレ?) × ニコ(一途)
bl好きさんにはもちろん、本当の『自分』を出せないことに苦しんでいる人にもおススメです!
「ニコール」という鎧に思わず共感
「自分」をつくることは生きる術
主人公の「ニコール」こと久美浜二胡は、女子からの絶大な支持を得て高校では人気No1の不動の地位を築き上げていました。
明るく染めた髪をヘアゴムで縛り、語尾に♡マークをつけてしゃべる。カッコイイ男子には投げキッス。 「かわいい~」と言われ男子からも女子からも大人気のニコ…
彼は「明るく面白いおねえキャラ」でその地位に上り詰めたのでした。
でも実はこの「ニコール」というキャラは、彼自身が自分を守るためにまとった鎧だったのです。
ニコは中学生の頃、ゲイゆえにいじめにあいました。
ニコの住む田舎町の人たちは距離が近くて優しいけれど、マイノリティーにはとことん冷たかったのです。
自分を育ててくれた祖父母はニコには優しく接してくれたのですが、悲しいことにそれはニコの望んでいるようなものではなく(祖父母は“ゲイ”というセクシャリティへの理解が十分ではなかった)彼を心から理解してくれる人は一人もいませんでした。
そして彼がゲイだという噂はたちまち村中に広まってしまい、ニコは自殺を考えるまでになりました。
そんなニコがこの狭い世界を生きぬくために作ったのが「明るく面白いニコール」だったのです。
でも本当のニコはかわいいリボンなんて付けたくなくて、男の子が好きなだけ。 でも外ではそれが出せないことに苦しんでいました。 他にも好きな人と接して自分の弱い部分に気がついたりして…自分の性格に悩みを抱えています。
ニコはいたって「普通の男の子」です。
そんな彼の本当の自分を出せない、「自分に対する悩み」には思わず共感してしまいます。
本当の自分を出せなくて悩んでいる人にもぜひ読んでほしいです。
このおねえキャラの「ニコール」のエピソード、実は物語の三分の一程度という以外にも短めです。 でもこのエピソードはすごく胸にくるものがあります(>_<)
ニコの初恋
そんなニコには憧れている男子がいました。
彼の名前は一色榮。
ニコの高校に転校してきた男の子です。
実はニコは以前にひょんなことから一度だけ榮と会ったことがあり、その時からずっと榮のことが好きでした。
その時というのはニコが自殺を決意した中学生の時。
ニコはひょんなことから出会った榮の言葉に救われたからこそ、今を生きていられるのでした。
そしてこれがニコの初恋で、ずーっと榮のことを忘れられませんでした。
そんな彼らは町の高校で再会し親友になるのですが、ニコは友達以上の気持ちを持っています。そこで好きだといってもおねえキャラの一環と思われ本気にしてもらえず……榮の好きな人(しかも男)の恋愛相談までうけるはめに……
不憫すぎます( ;´Д`)
好きな人とすっごく近くにいるのに…触れられる距離なのに触れられないってツライよね…ニコ…。
そんな普通の男の子の普通の片思いを応援してしまいます(>_<)
ロマンティック……ではない
このニコの命の恩人かつ初恋相手である榮なんですが……ド鈍感すきて気の利いた言葉とかはかけられません(笑)
まあ言われて嬉しいことをド直球で言うのは良いところかもしれませんが(笑)
密かに淡い恋心を抱くニコと榮の、ぱっと見最高にロマンチックなシチュエーションの放課後の二人きりの時間だって、きのこの山かたけのこの里派でミニケンカしたり……そんでもってしまいには好きな人の相談をされる。
卒業後再会して最高に何かありそうなお泊りも、またきのこの山系のミニケンカしたりお互い上京生活のグチ言いあったり……
物語後半から榮目線で話が進められさらによく分かるのですが、彼は白馬の王子様ではなく、よくも悪くも普通の男の子。 決してロマンティックではありません。
でもそれが良いのです。
普通の男の子のたわいのない会話、じゃれあい……普通の片思い。
それが良いのです。(←2回目(笑))
最後めでたく結ばれますが、そこも溶けちゃうくらい甘~い言葉があるわけではありません。むしろ少し笑っちゃう会話も…(笑)。
でも親友だから、好きだから、ロマンティックじゃなくても全て相手にあずけることができる。
そこが良いのです。(←3回目(笑))
余白?が神!yoco先生のイラスト素敵✨
この本を手に取った理由の一つ、yoco先生の絵に魅かれました。 わたくしbl本に限らずジャケ買い常習犯なので(笑)
yoco先生の絵について少し語らせてください<(_ _)>
先生の描く絵って余白?が神ってるとおもうんですよねぇ……
厳密に言うと余白というよりも、目立つ絵を描いていない部分の使い方?です(←ますます分かりにくい…)
例えばなのですがこの本の扉絵。 ニコと榮がプールにいるシーンなのですが、全体的に二人が画面上に描かれていて絵の半分以上がプールの水なのです。そしてニコの顔は見えるのに榮の顔は鼻から上が画面の外にでてしまい見えない状態です。
ところがどっこいです。この画面大半の水にです。
よーく見ると…
榮の顔が映っているぅ!!! なんて優しいお顔なのでしょう……
この思いがけないご褒美(←榮が見えたこと(笑))……感謝感激。
そしてもう一つ。この『愛しのニコール』の挿絵でもみられるのですがyoco先生の絵は盗み見をしているような感覚が楽しめます。(←犯罪臭(笑))
なんだろう…アップの絵よりも引きの絵が多い気がするからなのでしょうか…
あたかもその場を通りかかって二人を見ちゃってドキドキしてる、通りすがりのモブ腐女子になったような感覚というか…(笑)
いつか捕まるんじゃないかな…(困惑)っていうい感覚に陥ります(笑)
あ”ぁ”~……合法の盗み見ってできるんだ…。と思いました(笑)
最後に
冒頭にも書いたので二度目になるのですが、作者の凪良ゆう先生は今年度(2020年の)本屋大賞 を受賞されました。作品名は『流浪の月』です。
たくさん素敵な作品届けてくださる先生が受賞され嬉しいです(*´ω`)
今回紹介した『愛しのニコール』はあとがきにもあるのですが、普通の男の子たちのお話です。
親友で何でも話せる仲だけど、なかなかそれ以上の関係には発展しない。
読んでるこっちがやるせない気持ちになるくらい切ないですが、さいごはほんわかあったかい気持ちになれる純情ラブストーリでした。
そしてbl本も非bl本も、これからも先生についていこう!!
と一人勝手に意気込む管理人でありました。
☟過去の凪良ゆう先生関連の記事です<(_ _)>
fudaikaeru.hatenablog.com
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fudaikaeru.hatenablog.com
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最後まで読んでいただきありがとうございました。(*- -)(*_ _)ペコリ
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