腐大生の徒然日記

耽美、BLの沼から脱け出せない大学生による雑記ブログです。主にBL作品(漫画、小説、映画etc..)の感想、BL愛を綴っています。その他頻出話題は映画、音楽、絵画、グルメ等になると思います。

もう一度会いたい人はいますか? 「知る覚悟」を問われる作品 『ツナグ』辻村深月

 今週のお題「会いたい人」

はじめてお題に挑戦してみます、カエルです!

 

突然ですが皆さんは今、会いたい人はいますか?  転校した友達、遠くにいる両親、一人暮らしをする子供、もういない誰か……

皆さん様々だと思います。

ちなみに私は中学高校の友達に会いたいです。 今年度は成人式で会えると思っていたのですが、コロナの終息時期によってはもしかしたら無理かもしれませんね…(-_-;)

 

 

さて、前置きはこれくらいにして!

今日はお題にもある「会いたい人」との再会を描いた作品をご紹介します!

 

辻村深月先生 『ツナグ』 新潮社 です!!

 

 

本当なら絶対に交わるはずがない、生者と死者再会したとき、それは何をもたらすのか…

「知るコト」「全力で向き合う」大切さを感じさせられる作品でした。

 

生きることの意味を日々考えている人、そして温かい涙?を流したい人おすすめです!

 

 

 

短編が連作して1つの長編?になっている小説です(←分かりにくくてすみません…)

 なので今回は短編になっている5つの作品全てをピックアップして、あらすじ、見どころを紹介していきます!

ツナグ (新潮文庫)

あらすじ

 一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。 (背表紙あらすじ)

 

 


私的『ツナグ』のキーワード

私が この作品を読んで、「この作品のキーワードだな!」と思った単語を独断と偏見で考えました。気になるワードはありますか?? 〇の中の番号は「目次」の番号です!!


②生と死・生きざま ③家族愛・がんじがらめ ④嫉妬、知ることへの覚悟 ⑤愛 ⑥死と向き合う

 

 生きることの意味を日々考えている人、そして温かい涙?を流したい人におススメ!

 

 

 

 

 

 

 

アイドルの心得 ~生と死のお話~

♡キーワード:生と死 ・生きざま

 

突然死した人気タレント水城サヲリのファンだったOL、平瀬愛美生と死のお話。 

 

平瀬は貯金だけが趣味のあまり何かに強い思い入れを持つタイプではありませんが、水城だけは大好きでした。 死ぬことばかり考えていた平瀬を救ったのが水城だったからです。 

 

この水城はとても魅力的な人物です。

彼女の言葉には強さがあり、生きる大変さ、そして生きる大切さを教えてくれる。

作中、水城は自分にもう一度会いたいといってくれるファンがいたなんて、アイドルの鏡になれたかな…的なことを言っていましたが彼女の人柄はアイドルに留まらず、人間の鏡です。

 

この水城サヲリ単品の話を巻末の書き下ろしとかで出して欲しい(笑)

 

 

 

長男の心得 ~家族の愛のお話~

♡キーワード:家族愛・がんじがらめ

 

母にがん告知ができなかった頑固な息子、畠田靖彦家族絆のお話。

靖彦は幼いころから長男は家を継ぐもの、次男は家を出るもの、と教え込まれ育ちました。そして長男であった彼は現在家業を継いでいます。よく言えば責任感のある芯の通った人ですが、それよりもTHE頑固なオヤジという感じの人で、親戚の若い子たちからは少し疎まれる存在です。

 

そんな靖彦が亡くなった母親と再会することによって、自分だけが正しいと思っている頑固な心はが柔らかく変化していきます。

靖彦が無意識のうちにがんじがらめにされてきた、「長男」というプレッシャー…

 

そのがんじがらめにする基礎を作ってしまったのは母の影響も少しばかりはあるのかもしれませんが、結局その縛られた靖彦の心を開放できたのもだけでした。

 

柔らかく変化する靖彦の心が見どころです!

家族の絆母と子の愛。 を感じられるお話です。

 

 

 

親友の心得 ~「知る」お話~

♡キーワード:知ることへの覚悟

 

この話は収録されている他の作品とは、少し毛色が違います

それでもって5つの話の中で私が一番好きな作品です。

 

主人公の嵐美砂は、同じ演劇部だった親友の御園奈津が亡くなってから心にぽっかりと穴が開いてしまっています。 

嵐は容姿端麗、部活も主役。学校でも目立つ女の子です。 そんな嵐は御園が本当に本当に本当に大好きでした。プライドが高いことで周りからはどう思われようとも、御園だけには嫌われたくなかった…。

でもあるとき嵐の嫉妬心が引き起こした事件によって、彼女は自分が御園を殺したのだと思っているのです。

 

他の話は死者が生者と交わることで、生者が生きていくうえでプラスになるのですがこれは少し違う気がします。

確かに嵐と御園は、死者と生者として再会して正解だったと思います。 この形で再会したことで生者の中にあった一つ疑問は解決されたのですが、それによって生者である嵐が一生大きな十字架を背負うことになってしまったのではないかと感じました。

 

 

知らぬが仏という言葉もありますが、「知りたいこと」を知った後、「知らなければよかった」と後悔することはたまにあります。

でもそれを知っていしまった以上、私たちはそれと向き合う他ありません。 

その覚悟がすごく問われるお話だと感じました。 

 

あ、話的にはあまり重要?ではありませんが嵐と御園はBLが好きらしいです。

なんか親近感わきました(笑)

 

 

 

 

待ち人の心得 ~本当の愛のお話~

♡キーワード:愛

 

 失踪した婚約者、日向キラリを待ち続ける会社員、土谷功一本当の愛のお話

 

土谷は生きているのか死んでいるのかさえも分からない婚約者を、7年間も待ち続けています。 周りから何と言われようとも待っている。なぜなら愛していたからです。

 

土谷には分かりません。

全て上手くいっていると思っていたのに、なぜ彼女はいなくなったのか。

最近では彼女の名前、出身地、その笑顔……知っていること全てウソだったのではないかとも思うようになっていました。

 

 そんな土谷がキラリと再会することによって、やっと全てが明かされます。

「彼女」はいなかったけど、確かに愛はあった 素敵な愛のお話です。

この後土谷はどうなったのでしょうか……物語の続きが気になります(笑)

 

 

使者の心得 ~全ての原点~

♡キーワード: 生と死と向き合う

 

生者と死者を引き合わせることができる唯一の存在、使者

 

第一話では何者か全くわからなかったのですが、第二話になり家族構成が明かされる。 そして第三話では年齢、名前を知ることに。第四話では平常運転時の無表情に人間味あふれる顔が垣間見れ……

そしてこの「使者の心得」では彼の全てを知ることになります。

 

だんだん使者の事柄が明かされていくのが本当に面白いです。

短編集なのでどこから読んでも楽しめるのですが、この面白さを体験していただきたいのでぜひとも一話から順番に読んでいただきたいです(*^。^*)

 

 

ミニ考察☟

『ツナグ』は生者と死者が再会することによって、生者は知らなかったコトを知ることになっています。

「だんだん使者の存在を明らかにする」このストーリの進め方は、もしかしたら読者が生者の「知らなかったコトを知る」の疑似体験?なのかなぁ…と今まとめていて思いました(笑)

「使者」の読みは「シシャ」ですしね!

 

 

最後に感想、ミニ考察。 

 生者たちは死者と出会うことで、今まで「知りたくても、知らなかったコト」を知ることになります。

☝ ちなみに生者には使者も含まれています(←読み方がややこしい(笑))

 

彼らが経験した「知るコト」。

彼らが死者たちと再会し、それぞれが「知っりたかったこと」を「知るコト」によりそれは良い方に転がるのか、それとも……

 

 

今まで知らなかった事柄を知るコトは怖いことでもあります。

なぜならそれは「新しいこと」だからです。

でも知るコトを選んだ以上、新しい扉を開けると決めた以上、私たちはそれと全力で向き合わなければなりません。

 

それが生きているつとめでもあり、生きているからこそできることでもあると思います。

 

 

辻村先生がこの作品を通じて伝えたかったものはたくさんあると思いますが、その一つに「知る覚悟」と「向き合う大切さ」が含まれているのではないかなぁ……と思えてなりません(>_<)

 

この作品、妹が読書感想文用で読んでいて何年か前から家にありました。でも私はこの間まで読まなかったんですよね……私も読書感想文これにすればよかったなぁ…(;´Д`)

と、作品の面白さを「知って」後悔する管理人でありました(笑)

 

最後まで読んでいただきたいありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ